■過去ログ一覧に戻る■ レスを全部読む

西野つかさを応援するスレ Part50★

1 名前:yuukiss ◆7gkyuukiss 投稿日:03/07/08 08:26 ID:oqxIL0+6
いちご100%の西野つかさを応援するスレです。
つかさファンが集う場所です。
東城・北大路ファンは控えめに。
東城・北大路叩きも控えめに。
他派を刺激する内容はスレ内完結で。
このスレでのいちご100%のヒロインは
どんなことがあろうと西野つかさです。
煽り・荒らし・その他、マターリマターリを壊す輩は「完全放置」で。
なりきりは禁止。

このスレを閲覧する際には負荷軽減のため2ch専用ブラウザを使用してください。

前スレ
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1056871225/(サーバーダウン)
http://pc4.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1056871225/(容量512KB超)

yuukiss神の曲
http://tsukasatan.s33.xrea.com/

その他関連サイトは>>2

47 名前:DEATH ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:07 ID:3at66CAy
そして私も約一ヶ月ぶりに小説うpするです。
本当は七日に…って思ってたんだけど、まさかの鯖落ち。
2日遅れになってしまったけど、読んでくださると光栄です。
例によって長い。
毎度のことだけど嫌な人はスルーしてね。

48 名前:(1/17くらい) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:10 ID:3at66CAy
 一人の男と一人の女は恋仲であった。しかし、それに怒った娘の父親が二人の間に洪水を呼び出し、引き裂いてしまう。嘆く娘を心苦しく思った父親は年に一度、七月七日だけは川を渡り、出逢うことを許したのだった。

「笹の葉サラサラ〜♪のきばに揺れて〜♪」
 唯が幼い頃耳にしたことのある懐かしい歌を歌いながら、淳平の部屋のベランダに身を乗り出した。
 そこへ部屋の主、といっても最近は唯にその座を奪われかけている淳平がドアを開けて部屋に入ってきた。
「何してんだ、危ないぞ」
 淳平が注意を促すが、唯はそれを無視して夜空を見上げたままだ。淳平は呆れるが、夜風が部屋に入ってきて風呂上りの体には気持ちいいので、放っておくことにした。
 タオルで髪を無造作に乾かしながらテレビのスイッチを付ける。チャンネルを1から順に変えていっている淳平に唯が話しかける。
「今日は雨降ってたから空真っ黒だねー」
「いつも真っ黒だろ」
 都会なんだから星が見えることなんて稀だということくらい唯は知っているはずなのに、何を言ってるんだろうと淳平は思う。
「七日は晴れるかなー?」
「どーだろうな」
 素っ気無い返事に唯は頬を膨らます。
「淳平ってホント無神経だね」
「なんだよ急に」
「七日なんだから晴れるといーなとか思わないの?」
「七日になんかあんのか?」
 淳平がそう言うと、唯はぽかんとした顔をした。
 唯が主張しつづける日にちに何があったか思い出そうと記憶の中を駆け巡るが、一向に答えは見つからない。
「……こんなやつと西野さん、よく付き合ってるよなあ……」
 ボソリと唯が呟く。狭い部屋なので、淳平の耳にも容易に届く。
「うるせーよ! さっさと風呂でも入ってこい!」
 七日のイベントを思い出せないもどかしさも手伝って、淳平は顔を赤くさせながら唯を勢いよく部屋から閉め出した。

49 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい 投稿日:03/07/09 00:10 ID:p4zBZRts
>>45
みなさんタンクゲームに夢中なようで
あちらにいらっしゃいます。
つかさたん争奪戦。はりたんの所でつ。
おやすみーつかさタ━━━(゚∀゚)━━━ン!!!!


50 名前:(2/17くらい) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:13 ID:3at66CAy
「大体、唯は西野と同じ学校だからって仲良くし過ぎなんだよ……」
 ブツブツと愚痴りながらもう一度テレビに目を向けると、日曜の長寿アニメが始まるところだった。
 映画は九時から始まるし、今の時間は見るものもないからそれを見ることにした。
 オープニングが終りCMが明けると、お得意のタイムリーな話が一話目から始まった。
 小さい子供が笹を嬉しそうに持っている。タイトルが画面上に出たところで、淳平は眉を寄せた。
 そこには紛れもなく「七夕」と書いてある。やっとのことで唯の言葉の意味を淳平は理解する。
 しかし七夕なんて特別盛り上がる行事でもないし、小学校をあがってからは
 笹に願いごとを吊るすなんて行為はしていなかった。忘れるのも無理はないと淳平は思った。
 ――いざ思い出すと、淳平は七日の天気が気になりだした。ポチポチとチャンネルを変えるが、ちょうど天気予報をしている局はなかった。
 淳平は先ほどまで唯がしていたようにベランダから身を乗り出す。やはり真っ暗だ。
 そういえば小さい頃に織姫と彦星が出逢えるようにとてるてる坊主を吊るしたことがあるのを淳平は思い出す。
 懐かしくなってティッシュを数枚抜き取り、クルクルと丸める。それに上から一枚ティッシュを被せる。
 机の上にあった輪ゴムをひとつ取り、丸めたティッシュが落ちないように輪ゴムでてるてる坊主の首のところを止める。
 あとはマジックで適当に顔を描くだけだ。大きい点々を三個乗せると、てるてる坊主ができあがった。
 何故か頬が緩みにやにやしていると、部屋のドアが開いた。唯だ。
 淳平は恥ずかしいところを見られてしまったと焦って手にしたものを後ろに隠す――手遅れだった。
「うわー淳平何やってんの! てるてる坊主じゃん、かわいー!」
 淳平作のてるてる坊主を見て唯は一晩中爆笑するのだった。


51 名前:(3/17くらい) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:16 ID:3at66CAy
 次の日、淳平は授業が終ると駆け足で学校の校門を出る。
 先週期末考査が終わって、一学期が始まってから初めて二人きりでゆっくりできるのだ。
 今日から夏休みまでは午前中までなので、毎日放課後は彼女に会えると思った淳平は、軽い足どりで待ち合わせ場所へと向かった。
 いつもの待ち合わせ場所へ着くと、まだ最愛の彼女は来ていなかった。淳平は影のある場所で待つことにした。
 昨日は雨が降っていて割と涼しかったが今日はカンカン照りで何もしていなくても汗が噴出してくる。
 汗をぬぐいながら辺りを見回すと遠目に待ち人が見えた。向こうも気付いたらしく、久しぶりのつかさの笑顔を淳平は見た。
「ごめんね、遅れちゃって」
「ううん、俺もさっき来たし。どっか入る?」
「うん。ちょっとコンビニで涼んでいこうか」
 淳平とつかさはすぐ近くにあったコンビニに入ることにした。
「淳平くん、なんか買う?」
「うーん……ジュースでも買おうかな。あっ、ちょっと本読んでってもいい?」
「いいよ。あたしもなんか読もっかな」
 二人は本棚の前で横に並んだ。淳平は映画雑誌を、つかさは料理雑誌を手にした。
「淳平くん、今日お昼どうする?」
 つかさがパラパラと本のページをめくりながら隣に立つ淳平に話しかける。返事はない。
 本に夢中なんだなと思ったつかさは料理雑誌を元あった場所に戻し、別の雑誌を手にとる。
 今年の県内の祭情報が事細かに書かれている。流し読みしていると、つかさはぺージをめくる手をある場所で止める。
 一枚のページには「七夕祭」と大きく書かれている。
(そういえば明後日、七日だったっけ)
 つかさが幼い頃の七夕行事を思い出しながらページをめくると、次に載っていたのは毎年泉坂でやっている夏祭だった。
「一緒に行こうな」
 ふいに隣から声が聞こえて、つかさは肩をビクッとさせる。本を読み終わった淳平がつかさの持っている本を覗き込んでいた。淳平はつかさに笑顔を向ける。
「うんっ」
 つかさも笑顔で応えた。

52 名前:(4/17くらい) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:21 ID:3at66CAy
 ジュースを買い終わった二人は、淳平の家へ行くことにした。
 ちょうど淳平宅には貰い物の素麺の束が大量にあるので、それを昼食にとることにしたのだ。ゆでるのはつかさがやってくれるらしい。
 太陽がギラギラと照りつける中、二人は淳平の家にやっとの思いで着いた。
 ポケットから鍵を出してドアを開け玄関をあがり、淳平の部屋に入る。ムワッとした空気が部屋全体を乗っ取っている。
「居間行こう……」
 淳平はそう声を絞り出し、居間のエアコンのスイッチを入れた。23度まで下げる。
 数分経ってから居間全体が涼しくなった頃、つかさが立ち上がった。
「もう12時だね。素麺作ろっか」
「悪いな。ちょっと待って、今、麺出すから」
 二人分くらいの量をつかさに渡す。手際よく素麺をゆで始める。淳平は食器の用意をして、冷蔵庫から麺汁を取り出す。
「あたし見てるから、淳平くんテレビでも見てなよ」
 つかさの言葉に甘え、淳平はテレビを付ける。お昼の顔が画面に写っている。
 ゲストコーナーが始まったところで、つかさが冷やした素麺を持ってやってきた。
「おまたせー。まだちょっと温かいけど、できたよ」
「おう、ありがと」
 つかさはテーブルの上に素麺が入った器を置く。
「じゃ、いただきます」
「いただきます」
 二人で両手を合わせた後、箸を手に取り、汁をつけて素麺を口に運ぶ。
 つかさがまだ温かいと言った割には、冷水と氷でよく冷やされていて、口の中が潤った。
「淳平くん、もうじき何の日か知ってる?」
 つかさが食べる手を止めて、淳平に訊ねる。

53 名前:(5/17くらい) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:23 ID:3at66CAy
「え……? うん、えっと、七夕……だよな?」
「そう! すごい、淳平くんちゃんと覚えてるんだね」
「う、うん、まあ」
 淳平は少し後ろめたく感じたが、このくらいの嘘いいだろうと思い、会話を続けた。
「あたしなんてさっき雑誌で見るまで忘れちゃってた。でも歌と話はちゃんと覚えてるんだよ。小さい頃、すごく好きだったし」
「俺も話は覚えてるな。歌はうろ覚えなんだけど」
「それで毎年毎年雨が降りませんようにって、てるてる坊主なんか作っちゃってたりして」
「う、うん」
 昨日の自分の素行を思い出して恥ずかしくなった淳平は俯く。さすがにこの歳で作ってしまったなんて言ったら、笑われるだろうと思ったからだ。
 西野なら笑わないでくれるだろうとも思ったが、作ったという事実が幼稚だと思ったので、絶対に口にすまいと淳平は一人で胸に誓う。
「じゅーんぺーくーん?」
 淳平はハッとして顔をあげる。
「あ、ごめんっ、何?」
「あのさ、明後日にまた淳平くんち来てもいい?」
「いいけど……、なんで?」
「折角だから二人で七夕しようよ!」
「ええ!?」
「笹は無理だからー……願い事書いて吊るすだけだけどさ。だから今から、てるてる坊主作ろうよ! ダメ?」
「い、いや、いいけど」
 淳平はつかさの誘いに驚きつつ安堵する。恥だと思ったのは杞憂だったようだからだ。
 そう思うと、さっき誓ったことも簡単に揺らいでしまう。
「実はさ、俺、昨日てるてる坊主作ったんだよね」
「え?」
「ちょっと待ってて、今持ってくるから」

54 名前:(6/17じゃなくて10) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:26 ID:3at66CAy
 いざ告白してしまうと心が軽くなった。淳平は机の引き出しから、昨日作ったてるてる坊主を取り出す。
 ゴミ箱に捨てて親にバレるのも恥ずかしいし、ビリビリに破いて捨てるのも心苦しかったので、閉まっておいたのだ。
 意気揚々と部屋を出て居間に戻る。きょとんとした顔のつかさの前に、てるてる坊主を差し出す。つかさは更に目を丸くさせた。
 しばらく見たあと、つかさは顔を俯かせる。よく見てみると肩を小刻みに震わせ手で口を覆っている。
 具合が悪くなったのだろうかと心配になった淳平は慌てて、つかさの隣にしゃがんだ。
「どうしたんだ西野!? 気分悪いのか?」
「ううん、そうじゃなくて」
「じゃ、何……」
 淳平がそう口にしたところで、つかさが小さく吹き出した。我慢できなくてクスクスと笑い始めてしまったつかさを見て、今度は淳平が目を丸くさせる。
 つかさが絶えず笑っている姿を淳平はしばし見つめていた。笑い出した理由がわからないからだ。
 だが、淳平は先ほどまでの光景を思い出し始め、そこで初めてつかさが何故笑っているのか見当がついた。
 気付くともう顔全体が赤く染まり、次第に首まで行き渡ってしまう。淳平は慌ててさっきつかさに見せたものを掴み取り、どこか見えない場所へ放り投げた。
 今思うと、分解して再利用すれば良かったのだ。誓いを破った罰だと淳平は凹む。
「ごめん、淳平くん、笑っちゃって……」
 つかさはまだ笑いが完全に止まらないようだ。
「いいよいいよ俺も自分でアホだと思ったし!」思わず早口になる。
「ううん、違う違う、かわいいと思ったから。淳平くんって意外とロマンチストなんだね」
 そのフォローもあまり嬉しくないなあと淳平は思う。でも、やっぱり正直に言って良かったかもしれない。
「……ね、てるてる坊主作ろっか」
 まだ朱色のままの顔をつかさの方に向ける。耳に届くテレビの声が、ただの機会音に変わる。ぶつかりあった目は動かせず、涼しい筈なのに汗が頬を伝った。
「その前に素麺全部食べちゃおっか」
 つかさが笑顔でそう言うと、淳平は我に返り箸を手に取った。冷え切った麺を含むと、ヒンヤリとしたものが口内に広がった。


55 名前:(7/17じゃなくて10) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:30 ID:3at66CAy
 当日の午後5時頃、つかさは淳平宅のインターホンを鳴らした。
「「いらっしゃい、西野さん!!」」
 つかさを出迎えたのは淳平ではなく、唯と淳平の母親だった。
「こんにちは、おばさん、唯ちゃん」
「「こんにちは」」
 頬を緩ませながら唯と母親も挨拶していると、後ろから淳平に首根っこを捕まれる。
「二人ともあっち行ってろよ」
「うるさいなー。さ、西野さんあがってあがって」
「うん、ありがとう」
 唯に催促されてミュールを脱いで家にあがり、つかさは淳平の部屋に入った。窓から外を眺める。夜が短くなったので、5時でも空は青い。
「西野、扇風機あるから、こっち来いよ」
「大丈夫だよ、もう涼しいし。風も結構あるよ、ほら」
 つかさは、なびく髪を手で押える。そう言われて淳平も窓際に近寄る。ふわりと風が舞う。
「ホントだ、涼しい」
「でしょ? それより手伝いもしないで夕飯ご馳走になっちゃってホントにいいの?」
「平気平気。つーか、お袋なんか妙に張り切っちゃってるし」
 ははっと苦笑すると、つかさも微笑んだ。
「あっ」
 つかさがあるものに気付き、声をあげた。窓の外側には、先日二人で作ったてるてる坊主が三個きちんと吊るされている。
「良かった、まだあった」
「当り前だろ〜」
 確かに当然だろう。この三個のてるてる坊主のために、何枚のティッシュが犠牲になったことか……。もちろん再利用しているが。
 二人で作っていた時のことを思い出して、二人は笑いあった。
 ああでもないこうでもないと一時間に渡って作成していたのだ。他人から見ればどれも同じてるてる坊主なのだが、あの時の二人には今吊るしてあるてるてる坊主三個が特別だと思ったのだ。
 16時頃帰宅してきた唯に思い切り笑われてしまった時は、さすがに自分たちがくだらないことしてるなあと少し感じてしまったが。

56 名前:(8/17じゃなくて10) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:34 ID:3at66CAy
「二人ともご飯だよ〜」
 午後6時頃になると、部屋のドアを開けて唯が入ってきた。呼ばれたので二人は居間へ足を進めた。
「おじさん、こんばんは」
 居間でいつのまにか帰宅して新聞を読んでいた淳平の父親に、つかさが軽くお辞儀をしながら挨拶をすると、父親はでれっとした顔をして「こんばんは、つかさちゃん」と言った。
「さあさあ、つかさちゃん座って。大したもの作れなかったけど、たくさん食べてね」
「ありがとうございます」
 母親が促し、つかさは腰をおろした。
 5人で手を合わせたあと、箸が動く音がかき消されるほど和気藹々とした会話が繰り広げられた。

 夕飯を済ませたあと、5人でまだまだ話をしている間に陽は沈んだ。
 外が暗くなったので淳平とつかさは部屋に戻った。まだ星の確認はしていない。
「あれ? そういえば……」
 部屋に戻った時、淳平があることを思い出した。
「どうしたの? 淳平くん」
「……いや、俺たちさあ、もしかしなくても、願い事書いてなくないか?」
 てるてる坊主や天候のことで頭が一杯だった二人は、うっかり短冊を忘れてしまっていたのだ。
「そういえば……。どうしよー、今から書こっか!」
「そうだな。紙とペンだな、ちょっと待って」
 淳平は筆箱からペンを2本取り出す。あとは紙なのだが、ルーズリーフや大学ノートの紙では味気ないと思い、淳平は机の中を賢明に探した。
 すると、4段目の引出しの奥深くに眠っていた色紙が見つかった。淳平はその一枚をハサミで半分に切る。パンチで上の方に穴を1つあけて、つかさに半分の紙とペンを渡した。
「ありがとう、淳平くん。ねえ、空見てみようよ」
 窓を慎重に開けて、二人は恐る恐る夜空を見上げた。そこには満天に輝く星空は無く、いつもと同じ真っ暗な闇だけだった。淡い期待などたちまちに消え去ってしまった。

57 名前:(9/17じゃなくて10) ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:37 ID:3at66CAy
「願い事書こっか」
 つかさが残念そうな顔をしたあと、淳平にそう言った。
「うん……。あ、西野そこの机で書きなよ。俺、下で書くから」
 つかさが礼を言ったあと椅子に腰かけて、キャップを取った。淳平も床に座り、考え込む。
 西野は何を書くんだろうと思い見てみるが、こちらからは何も見えない。
(願い事か…。やっぱ映画監督になれますようにとか?)
 願いや望みが何かとか、いざ訊かれると答えに詰っちゃうよなと淳平は思う。
 考えてみると自分は恵まれていると思うし、これ以上何かを望むのは貪欲だろう。
 しかし、人間というものは今より更に上を欲してしまうものでもある。
 その感情とは少し違うかもしれないが、さっき晴れたことだけでも喜々としていたが、更にキラキラと輝く星を見て、つかさに喜んでほしいと思っていた。結果は悲しいもので、空には何一つ在りはしなかったが。
「淳平くん、書けた?」
 考え込んでいる淳平に、つかさが声をかけた。淳平は慌てた。一文字も書けていないのだ。
「ちょっと待って、今書く」
 淳平が書き終わると、穴に細い紐を通した。てるてる坊主が吊られている近くに、風で飛ばされないようにしっかりと結ぶ。風でハタハタと短冊が揺れている。窓を閉め、二人は腰をおろした。
「淳平くん、何お願いした?」
「え? いや、俺は……」
 口にするのが恥ずかしいのか、淳平は言葉を濁す。
「あたしはね……、「淳平くんと ずっと一緒にいれますように」ってお願いしたよ」
 予想外のつかさの願いごとに、淳平は驚く。同時に喜びと照れも起こった。つかさも頬を染めている。

58 名前:ラスト ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:42 ID:3at66CAy
「淳平くんは?」
「えーと……俺は……」
 ゴニョゴニョと誤魔化す淳平に、つかさは口を尖らせる。
「何? 言えないようなこと? 見ーちゃおっと」
 つかさは立ち上がって窓を開けた。揺れる短冊を押えて、願い事を読もうとした。その時、
「淳平くん、淳平くん!!」
 つかさが叫ぶので淳平は慌てて立ち上がった。
「どうした?」
「いいから見て、上!」
 窓から顔を出して、つかさの指差す方へ目を向ける。目をこらしてよく見てみると、キラリと輝くものがひとつ見えた。見間違えではない、あれは紛れもなく星だ。
「すごい、見れたね。嬉しいな」
 つかさの屈託の無い笑顔を見て、淳平もつられて微笑む。
「あ、そうだ。淳平くんの願い事」
 淳平の短冊を手に取ろうとするつかさの手を、淳平は掴む。
「何? 淳平くん」
「いや、見なくてもいいよ」
「見たいんだってば」
「いいんだってば見なくて」
「そんなに変なこと書いたの? バカだなあ、淳平くん。左手って知ってる?」
「あっ!!」
 淳平が気付いた時には、まさしく時既に遅し――。淳平の願いごとは、しっかりとつかさの目に入った。淳平は顔を赤くさせて床に座り込んだ。そしてまた、つかさの顔も同色に染まっている。ゆっくりと窓を閉めたあと、つかさは淳平の隣に座って言った。
「願い事……叶ったね」


―――『星が出て西野が喜びますように』


おわり

59 名前:ラスト ◆9ZqvuWcii6 投稿日:03/07/09 00:46 ID:3at66CAy
さ〜てTANK MANIAしに行こう(゚∀゚)


つかさタンの淳平への想いが届きますようにっと。

395KB
続き

過去ログ一覧に戻る レス全部 次100

read.cgi Lite + 過去ログ仕様 (03/06/30)