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西野つかさを応援するスレ Part20★

48 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/02/12 04:53 ID:v6hU1qaD
 口許を覆う白のマフラーを少し下げて、息を吐いた。ふわりと吐息が空気中に溶け、すぐに風に消えていく。
 ついさっき真中の家の前にチョコレートを置いてきたことを思い出し、ふと自分のてのひらを見つめた。
 未練がましかったかな、と少しだけ思う。
 どうしてだろう、こうして時々立ち止まってたりしているのは。
 ひょっとして、淳平が気付いて追いかけてくれるんじゃないか期待しているのかと思った時、思わず自嘲とも苦笑ともとれない笑みがこぼれた。
「あたし、バカだ……自分で言ったくせに……」
 違う高校に行くと言い出したのも、さよならを告げたのも、自分からだった。
 後悔しないと、決めたはずなのに。頬に触れる風が冷た過ぎて、余計に寂しくなる。
 何でチョコレートなんか置いてきてしまったんだろう。今からでも取りに行こうかと、一瞬だけ思案した。
 しかし、きっともう手遅れだろうと思い、また家路へと歩き出す。
 気付くはずが無い、名前も書かなかったんだから。多分、自分の存在が淳平の中でどんどん小さくなっていっているであろうことは、自覚していた。
 文化祭で、自分は淳平の夢に対して何も出来ないと、思い知らされたはずなのに。


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