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西野つかさを応援するスレ Part13

1 名前:(´_ゝ`) ◆huun/.OpUA 投稿日:03/01/13 00:45 ID:h+1B9WwT
いちご100%の西野つかさを応援するスレです。
つかさファンが集う場所です。
東城・北大路ファンは控えめに。
東城・北大路叩きも控えめに。
他派を刺激する内容はスレ内完結で。
このスレでのいちご100%のヒロインは
どんなことがあろうと西野つかさです。
煽りは放置で。
なりきりは禁止。

前スレ
http://comic2.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1042052989/

yuukiss神の曲
http://f6.aaacafe.ne.jp/~pantiira/

その他関連スレは>>2


967 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:23 ID:YccqisA+
立てました。
http://comic2.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1042734080/l50

968 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:27 ID:LXXtlAdJ
乙!

969 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:28 ID:kveOrain
>>967
オツカレ

970 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:31 ID:1rTtpoMf
今回はマターリ移行できたね

971 名前:DEATH 投稿日:03/01/17 01:36 ID:8Fk6BzaS
つかさタン再会バージョン2を埋め立てついでに投稿させてくらさい。
じゃー、いきまーす。

972 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:37 ID:8WizfJGm
つかさたん可愛すぎ

973 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:38 ID:De0FZU4w
>>971
キターーーーーーーーー。

974 名前:DEATH(1/25) 投稿日:03/01/17 01:38 ID:8Fk6BzaS
 まだまだ寒い日が続く中、真中はまだ東城とさつきの間で揺れ動いていた。
 毎日がハプニング続きで真中は嬉しくもあり疲れもあった。
 そんな中、一本の電話が真中家へと届いた。

「淳ちゃん!唯ちゃん桜海学園に受かったらしいわよ!」
 母が受話器を持ちながら、コタツに入っている真中にそう言った。
「え…!?マジで!すげーじゃん、唯のやつ!!」
 真中はコタツから出て母の隣に立った。
 母の電話の相手は唯の母親らしい。それから少ししてから母は電話を切った。
「今度一度、うちへ挨拶へ来るって言ってたわ。前日には連絡するって」
「そっか…。祝ってやんねーとな」

 桜海学園か…。
 真中はそこに通う、彼女のことを思い出した。
 あの日から一度も西野とは会っていない。
 どうしてるんだろうか…。

975 名前:DEATH(2/25) 投稿日:03/01/17 01:39 ID:8Fk6BzaS
 それから数日後の日曜日、真中家のインターホンが鳴った。
 ドアを開けると、そこには一つ下の幼馴染とその両親が立っていた。
「久しぶり、淳平!!」
 唯は元気良く言った。
「あぁ、久しぶり…」
 2人は居間にいる大人たちから離れ、真中の部屋にいることにした。

「桜学、受かって良かったな。おめでとう」
「うん!」
 ニコニコと唯は機嫌がいい。
 そりゃレベルの高い学校に受かったら浮かれるのも当然だよなと真中は思った。
 俺も泉坂受かった時はすげー嬉しかったし…。
「そういえばね淳平、この間桜海学園に見学へ行ったのね。入学体験っていうやつ。
 そしたらさ、すごい綺麗な人見ちゃった!!芸能人みたいなの!」
 真中は唯の発言にドキリとした。もしかして…と。
「淳平知ってるかなぁ?西野つかささんっていうらしいんだけど」
 予想が的中して真中は固まってしまった。
「どしたの、淳平?知り合い?」
「いや…まぁ…うん…」
「えーー!?淳平があんな綺麗な人と知り合いなの!?なんで!?
 っていうか淳平、唯が前に聞いた時は知り合いなんかいないって言ってたくせにー!
 なんで教えてくんなかったの!?ヒドイなー!」
 真中は無言で唯から目を逸らした。
「言えなかったんだよ……」
 そんな真中の言葉と表情から唯はなんとなく察した。

976 名前:DEATH(3/25) 投稿日:03/01/17 01:40 ID:8Fk6BzaS
「…もしかして…前に言ってた彼女だった人…?」
 真中は数秒経ってから黙って頷いた。
「そうなんだ…それじゃあ言えるわけないよね…」
 唯もションボリして、しばらく沈黙が続き、唯が沈黙を破く。
「ねえ、まだその人のこと好きなの?」
 そう訊かれて真中は「わからない」とだけ答えた。
「わかんないって何?それに東城さんのことが好きなんじゃないの?」
 問い質されて真中は少しだけ口にした。
「東城のことは…正直気になるし…多分好きなんだと思う…」
「西野さんは?」
「…振られた時に本当に好きだったんだって気付いた。
 でも今更俺にどうすることもできないし…俺はヨリを戻したいとか言える立場じゃない」
「そっかぁ…淳平は2人の女の子の間で揺れてんだね。あのビービー泣いてた淳平が…」
「…実はさつきもなんだけど…」
「は!?じゃ3人!?何ソレ!」
「俺もどうしたらいいのかわかんねーんだよ〜〜〜」
 真中は両手で頭をかかえ、唯は信じられないという顔で真中を見ていた。

977 名前:DEATH(4/25) 投稿日:03/01/17 01:41 ID:8Fk6BzaS
 それから数日が経ち春休みがやってきた――――――。
『ピンポーン』
 インターホンが鳴った。
 バイトも無く、家にいた真中は玄関へと走る。
「はーい」
 そう言いながらドアを開けると…。
「やっほ!久しぶりー淳平!!」
 もう家には来ないだろうと思われていた幼馴染が大きなバッグを持って立っていた。

「実はね、この間唯ちゃんのお母さんたちと話してたら、そういうことになっちゃって。
 唯ちゃんもうちにいるの気にいってたらしいし、それに寮に一人でいれちゃうのも寂しいじゃない?
 いつまでっていうのはまだハッキリ決まってないんだけどね」
 真中が出かけていて帰ってきた母親に問うと、こんな返事が返ってきた。
「なんだよ、それ!俺の寝るとこまた取られんのかよ〜〜!!」
「またヨロシクね、じゅんぺー!!」
 対照的な表情をする幼馴染のせいで、真中はまたあの波乱な日々を向かえることとなった。

978 名前:DEATH(5/25) 投稿日:03/01/17 01:43 ID:8Fk6BzaS
 四月になり、真中は二年生に、唯は桜海学園の一年生となった。
 2人とも大きなハプニングも無く、平々凡々な日々が続いていた。
 相変わらず真中は東城とさつきでフラフラしているわけだが。
 そして、西野の話を唯がするため真中はそちらばかりが気掛かりだった。何故かというと、
「今日はね、西野さん廊下で見たよ」
「西野さんのこと好きな人が校門にまた大勢いた」
「家庭の授業で2年生がなんか作ってるの見ちゃった、そしたら手際よくやってたよ」
 等々、唯がいちいち報告してくるのだ。しかもこの間、
「西野さんとのこと応援してあげようか?」
 と言ってきたのだ。真中は当然いらねーよと断ったが。
(…それに俺には東城とさつきのこともある。
 未練たらしく別れた彼女のことを女々しく想っている場合じゃない。
 とかいって西野のこと考えると胸が…)

979 名前:DEATH(6/25) 投稿日:03/01/17 01:43 ID:8Fk6BzaS
 そんなある日、唯がとんでもないことを口にした。
「唯、西野先輩と仲良くなっちゃった」
 真中は当然のことながら固まってしまった。
「な、なんで…!?」
「あのね唯、生徒手帳落としちゃってさ。そしたら西野先輩が届けてくれたの」
「なんだよそれ…。お前、そんなもん落としてんじゃねーよ〜!!」
「わっ何怒ってんの。唯が西野先輩と仲良くしちゃいけないの?淳平、もう好きじゃないんでしょ?」
「うっ…」
 そう言われて真中は大人しくなる。
「好きなら応援してあげるよ〜?それとも東城さんとの応援しようか?さつきちゃんとのがいい?」
 ニヤニヤとからかい気味に唯は真中を肘でつついた。
「ふん、応援なんかいらねーよ。それに西野は…もう俺のことなんか忘れてるだろうし」
「そうかなぁ。西野先輩、彼氏いないらしいよ?」
「えっ…」
「淳平のこと忘れられないのかもよ?今も淳平のこと好きなのかもしれないよ?」
「そっ…そんわけねーよ、俺のことなんか…」
「だよねー。きっと自分に合った人が見つからないんだろうね」
 唯が一人で納得していると、真中は立ち上がった。
「どこ行くの?」
「…便所」
 フラフラと真中は部屋を出て行った。

980 名前:DEATH(7/25) 投稿日:03/01/17 01:44 ID:8Fk6BzaS
「…変わらないなぁ、淳平は。一人でウジウジしちゃって。
 誰が本当に一番好きかってそんなに自分でワカラナイものなのかなぁ?」
 真中の後姿を見ながら、唯はポツリと呟いた。

 真中はトイレのドアを開け、中に入り壁にもたれかかった。
(西野には彼氏がいない…?あれから4ヶ月も経ってるのに?
 でも唯が確かめる間に一度や二度出来てて、たまたま今はいないのかもしれない。
 …でも、もしもあの日からずっといないんなら…
 それって…もしかして…まだ俺のことを好きでいてくれてるから…?)
「………そんなわけねーか」
 そこまで考えて真中は自分で否定した。

981 名前:DEATH(8/25) 投稿日:03/01/17 01:44 ID:8Fk6BzaS
 季節は暖かくなり衣替えをする頃になった。
「ねー淳平、今度一緒に行ってほしいところあるんだけど、いい?」
 真中が映画のビデオを見ていると、唯が後ろから声をかけた。
「別にいいけど…なんだ?どこ行くんだ?」
 真中はビデオを一時停止にして振り返った。
「うん…あのね、今度つかさ先輩の家に行くんだ。だから淳平も一緒に…」
「はぁ!?」
 勢い余って真中は再生ボタンを押してしまう。
「実はさー、この間話してたら料理教えてもらうってことになったんだ」
「なんでそれで俺まで一緒に行かなきゃいけねーんだ」
「一緒に行くはずだった友達が急用で行けなくなっちゃったの!」
「違う子連れてけばいーだろ!?」
「だって皆用事あるんだもん…」
 ションボリした顔の唯を後目に真中はテレビの方へ顔を戻して巻き戻しボタンを押した。

982 名前:DEATH(9/25) 投稿日:03/01/17 01:45 ID:8Fk6BzaS
「…悪いけど一人で行けよ」
「……淳平ってそんなに冷たいやつだったんだー…」
 唯は目を細めながら腕を組んだ。
「いいもん、このことつかさ先輩に言ってやる!」
「ちょ、やめろよ!ってゆーか、お前、俺と知り合いだって言ったんじゃねーだろうな!?」
 真中は焦って立ち上がった。
「言ってないよ。でも淳平が行ってくれないなら…」
 そこまで言って唯はニコリと微笑んだ。
「…わかったよ、行けばいいんだろ」
「え!?いいのー!?やった!さすが淳平!」
 両手を上げて唯は万歳のポーズをした。
「でも俺は後から行くからな」
「なんで?」
「こ、心の準備ってものがあるだろーが」
「あっ、そ。わかった」
 唯はそう言って鼻歌を歌いながら居間へと去っていた。
「…どんな顔して会えばいいんだよ…」
 巻き戻しのまま放置してあるテレビ画面を見ながら真中はうな垂れた。

983 名前:DEATH(10/25) 投稿日:03/01/17 01:46 ID:8Fk6BzaS
 ついに西野家へ訪問する日がやってきた。
「じゃあ唯は先に行ってるから。逃げないでよ!」
 唯は玄関先でそう真中に忠告して出かけていった。
 真中はパジャマ姿のままで唯を見送った。
「さて…どうしたもんかな」
 ベッドに寝転がりながら、真中は呟いた。
 どんな風に会えばいいんだろうなと真中はずっと考えっぱなしだった。
 やっぱりここはスタンダードに何事もなく「よっ!西野!久しぶり!」って感じに明るくか!?
 いや「西野…久しぶりだね…元気だった?」としんみりとした感じか!?
 それとも「ホントは来たくなかったけど会いに来てやったぞ!!」っつー嫌味っぽく!?
(あー!!最初の二つはともかく最後のはいくらなんでも無いだろ!?俺!!
それじゃ俺が振った方みてーじゃねーか!一秒で玄関のドア閉められるっつーの…)
 真中は後頭部をガシガシと掻き、もう一度一から考えた。
(西野はどんな反応するだろう…?)

984 名前:DEATH(11/25) 投稿日:03/01/17 01:47 ID:8Fk6BzaS
 「西野…久しぶりだね」
 「淳平くん…!」
 涙ぐむ西野。微笑む俺。
 「会いたかった…!」「俺もさ…!」
 そして抱き合う2人。

(有り得ねぇ…)
 真中は自分でシュミレーションした内容にガクーッと肩を落とした。
 案外、「あんた誰?」って言われるかもしんないな…。
 ハハッと自嘲気味に笑って真中はタンスから服を取り出した。


 唯が家を出てから約1時間後、真中も家を出ることにした。
 西野家までのルートを思い出しながら一歩一歩慎重に歩く。
(この道順歩くのも…久しぶりだな…)
 真中は去年の西野の誕生日を思い出した。
(…誕生日?)
 真中はハッとした。
(そうだ、今日は俺の誕生日…!)
 俺も一つ年とったのか、と思いながら真中は歩きつづけた。

985 名前:DEATH(12/25) 投稿日:03/01/17 01:47 ID:8Fk6BzaS
 数分後、真中は西野家の前へと来ていた。
 インターホンを見ながら唾をゴクリと飲み込んだ。
 ボタンを押す指が震える。
(えーい!グジグジやってねーで男なら行け!真中淳平!!)
 自分で後押しをして、真中はインターホンを無事押しとげた。
「はーい」
 久しぶりに聞く彼女の声がかすかに聞こえ、真中の心臓は跳ね上がった。
 ドアが少し開かれ、出てきた西野を見て、真中の心臓は更に速さを増した。
「あ…」
 真中が喋ろうとすると、
「あ!淳平!やっと来た!!」
 西野の後ろから唯が声をかけた。西野は唯の方を見て、もう一度真中の方へ顔を向けた。
「どうぞ」
 そう言ってニコッと微笑み、西野は奥へと入っていった。
(あ…案外、あっさりしたもんなんだな…)
 真中はホッとしような残念なような気持ちになった。
「もう!何してたのさ。お菓子ほとんど出来ちゃったよ!」
 唯が真中に近付いて小声で言った。
「ああ…悪い」
 真中は靴を脱いで、久しぶりの西野家へお邪魔した。

986 名前:DEATH(13/25) 投稿日:03/01/17 01:48 ID:8Fk6BzaS
 真中は唯の後ろについていき、キッチンに入る。
 そこには後姿の西野がいた。唯と2人で作ったお菓子を皿の上にまとめている。
「つかさ先輩」
 唯が西野にそう声をかけた。
「何?唯ちゃん」
 西野は後ろを振り返らずに返事をした。
「紹介しますね、こいつ唯の幼馴染で…」
「知ってるよぉー」
 唯が真中の紹介をしようとすると、西野が笑顔で振り返った。
「え…?」
 真中と唯は西野の態度に目が点になった。
「真中淳平くんでしょ。唯ちゃん知らなかったのかな?あたしと淳平くん同じ中学だったんだよ」
 ニコニコと西野は平然とした顔で説明した。
「西…」
「えっ!そうなんですかー!?唯全然知らなかったぁ!」
 真中が名前を呼ぼうとしたところで、唯がほとんど棒読みの状態で、さも今知りましたという
感じにそう言った。
「うん、そうなの。淳平くんもうちに来るなら先に唯ちゃんに言えば良かったのに」
「あっ…うん」
 西野の何事もなかったかのような表情に真中は戸惑う。
「さっ、これ食べよ」
 さっきまでまとめていたクッキーの盛られた皿と1ホールの苺のショートケーキを西野は差し出した。

987 名前:DEATH(14/25) 投稿日:03/01/17 01:49 ID:8Fk6BzaS
 西野と唯が隣同志の椅子に座り、真中は唯の前の椅子に座った。
 ケーキを切り分け、一皿ずつそれぞれの前に配られる。
「いただきまーす♥」
 唯が手を合わせながらそう言って、ケーキにフォークをつけ、一口パクリと食べた。
「おいしーい!」
 唯は口に手を当てて、驚き気味にそう言った。
「凄く美味しいです!つかさ先輩、すごーい!」
「ありがとう。でも、これは唯ちゃんがほとんど自分で作ったものなんだよー?
 唯ちゃんがうまくクリーム混ぜてくれたからこれだけ美味しくなったのよ、きっと」
 西野にそう誉められて、唯は照れくさそうに頬を掻いた。
 一方、真中はまだケーキに手をつけられないでいた。
 どうしても西野のあっさりとした態度が気になるのだ。
(も、もしかして俺と付き合ったこと無かったことにされてる…!?)
 チラリと西野を伺うと、ケーキを食べて唯と微笑み合っている。
(…忘れ去りたい過去なのかも…)
 ズ〜ンと真中が一人暗いモードでいると、
「淳平くん食べないの?」
 西野がそう声をかけた。真中がバッと顔を上げると、前と変わらない西野がいる。
「あっ、ゴメン。食べる食べる」
 そんな2人の掛け合いを唯はジッと見ている。
 唯はどうしても分からなくて考えていることが堪えきれなくて、ついに言葉に出した。
「つかさ先輩、まだ淳平のこと好きなんですか?」
 その場の空気が一瞬にして固まったのは言うまでもない。

988 名前:DEATH(15/25) 投稿日:03/01/17 01:51 ID:8Fk6BzaS
「え…」
 西野が驚いた顔で唯を見ている。唯も負けじとジッと西野の方を見る。
「ば、バカッ!唯、何言ってんだ!西野だって困ってんだろうが!」
「だって…」
 真中が身を乗り出して、唯の口を塞いだ。
「ご、ゴメンな、西野、こいつホントにバカで…」
 真中はこれ以上、ここにいちゃいけない気がして唯を引きずってキッチンから出ようとする。
「じゃあ、俺たちそろそろ帰るね。ごちそうさま」
 冷や汗をかきながら真中はキッチンを出た。
「ほら唯、靴履け!」
「なんで帰るの?」
「お前が変なこと聞くからだろうが!」
「変なことなの?2人の方が変だよ。どうしてあんな平然としてられるの?
 淳平まだつかさ先輩のこと好きなんでしょ?」
「…いいから靴履け」
 唯は口を尖らせながら渋々靴を履いた。
「お邪魔しました」
 真中は唯の手を掴みながら、そう言って西野家を出た。

989 名前:DEATH(16/25) 投稿日:03/01/17 01:51 ID:8Fk6BzaS
 唯の手を掴んだまま、無言で真中はズンズンと歩く。
 重苦しい雰囲気の真中に唯も声がかけられない。
(唯、いけないことしちゃったのかなぁ…。つかさ先輩も困ってたし…)
 唯はションボリとしながら、チラリと西野家の方に目を向けた。
 すると玄関先に西野が立っているのが見えた。
「じゅ、淳平!」
 唯が真中の足を止めようと捕まれた手をひっぱった。真中はなんだ?と後ろを振り返る。
「ほらあれ!つかさ先輩…」
 真中が唯の指差す方を見ると、確かに西野が見えた。
 しかし真中はどうすればいいのか分からない。そんな真中を見て、唯は手を離して真中の背中を押した。
「唯、先に帰ってるから!」
「おいっ…!」
 唯は真中の止める言葉も無視してさっさと行ってしまった。
 真中がもう一度、家の方に目を向けると西野もその場から動いていないでいた。

990 名前:DEATH(17/25) 投稿日:03/01/17 01:52 ID:8Fk6BzaS
 真中と西野はお互いを見るだけで、声もかけずにただ突っ立っているだけである。
(ど、どうしよう、俺から声かけるべきだよな…!?)
 ダラダラと冷や汗をかきながら、真中は覚悟を決めるかのように唾を飲み込む。
 幸い、西野との距離はそんなに離れていない。わざわざ近付かなくても会話できる幅だ。
「さ、さっきは唯が変なこと言い出してゴメンな!」
 真中が笑いながら声をかけると、西野は数秒経ってから返事をした。
「ううん。全然気にしてないから…」
 ―――――気にしてない…。真中はその言葉にショックを受ける。
(やっぱり…俺のことなんか忘れちゃいたいのかな…)
「それにさ、」
 西野が話を続けてきたので、真中は西野の方を見る。
「唯ちゃんが聞いてきた気持ちも分かるし…淳平くん、唯ちゃんにあたしたちのこと話してたんだね」
「ご、ゴメン……」
「気にしないで。でもビックリしたよー、淳平くん急に来るんだもん」
「あっ…ホントは来ないでおこうと思ったんだけど、唯がどうしてもって…」
「あっ、いいよぉ。久しぶりに淳平くんの元気な姿も見れたし…それに…」
「…それに?」
「それに今日、淳平くんにあたしが作ったケーキ食べてもらえて…お祝いできて嬉しかったし…」
「――――!!」
「あっ、もちろん唯ちゃんも一緒に作ったんだよ。唯ちゃんホントにクリーム混ぜるの上手で…淳平くん?」
 俯いて黙ったままの真中を不審に思い、西野は少し近付いて様子を伺った。

991 名前:DEATH(18/25) 投稿日:03/01/17 01:52 ID:8Fk6BzaS
「西野…ごめん…本当にごめん」
 しきりに謝る真中に西野は焦る。
「どうしたの…?」
 真中は不思議そうに首を傾げる西野を見て、更に自分が情けなくなった。
 俺のことを忘れ去ろうとしてるなんて冗談じゃない、誕生日まで覚えていてくれてるじゃないか――…。
 でもそれが俺のことをまだ好きでいてくれてるということに繋がるわけじゃないし、
そんな虫が良すぎることないと思うけど…けど、凄く嬉しい…。
「西野…」
「…何?」
「…雰囲気に…押し流されてもいいかな…?」
「…」
 西野は少し考えて、真中の手を取った。
「――いいよ…」
 真中は握られた手を引っ張り、西野を抱きしめた。

992 名前:DEATH(19/25) 投稿日:03/01/17 01:54 ID:8Fk6BzaS
 それから2人はもう一度、西野宅の中に入った。
 キッチンに行き、食べかけのケーキとほとんど残されたクッキーを食べようと真中が提案したのだ。
「やっぱり西野のケーキはおいしいなぁ」
 ケーキを食べたあと、注がれたコーヒーを飲み干して真中はそう言った。
「ありがとう、それとこれ、唯ちゃんに持っていってあげて」
 西野はケーキとクッキーが入った箱をテーブルの上に置いた。
「うん。唯も喜ぶよ」
「あ、淳平くんケーキおかわりする?」
「ううん、いいよ。十分食べた。ショートケーキこんなに食べたのいつぶりだろ」
「あっ!そういえば思い出した、あたしの誕生日の時もショートケーキ食べたよね。
あれはお母さんが作ったやつだったけど」
「西野が作ったのといえば、あれ、ブッシュドノエルもおいしかったよ―――あ…」
 真中はあの日のことを思い出してしまった。西野も思い出したのだろう、俯いている。
「あ、あー、それとさ、」
「淳平くん」
 真中が急いで次の話題を出そうすると、西野がそれを遮った。
「な、なに…?」
 緊迫した雰囲気に真中はドギマギする。

993 名前:DEATH(20/25)25もいらんだ…。 投稿日:03/01/17 01:55 ID:8Fk6BzaS
「…あたし、あの日別れてから一度も淳平くんのこと忘れたことなかったんだよ」
「!」
「女々しいな〜って自分で情けなくなった。でも、後悔してるとかじゃなくて、
 淳平くんと付き合ってたことはあたし、無かったことになんかしたくなかったから…」
「西野…」
「ごめんね、変なこと話しちゃって。コーヒーおかわりいる?」
「俺も…西野のこと忘れたことなかったよ」
 西野は目を大きく見開いた。
「淳平くん…」
「ごめん、俺そろそろ帰るよ。ごちそうさま」
 真中はケーキの入った箱を持って、椅子から立った。
「あ…うん、バイバイ」
 西野は右手を胸辺りまであげて、左右に振った。
 真中は名残惜しくもあったが、西野を背に家を出た。
(西野……)
 さっき全て本当の気持ちを言ってしまうところだった。
 西野にふられた日、本当に好きだったことに気付いたこと、
 東城とさつきのことも同じくらい好きで迷っていること、
 いくらなんでも失礼過ぎるよな…。
 もし、もしもこのことを話したら…西野はきっと軽蔑するだろうな…。
 だから…もう会っちゃいけないんだ。俺にはもう会う資格なんてない。

994 名前:DEATH(ラスト) 投稿日:03/01/17 01:55 ID:8Fk6BzaS
「ん?」
 前をジッとみると、電柱の横に唯が立っているのが見えた。
「唯、お前何してんだ?」
「えっ!?つかさ先輩とどうだったかなぁって思って…」
「…これ、ケーキだってよ」
 真中は西野に貰った箱を唯に渡した。
「え!うそ、やったー!つかさ先輩にお礼言ってこよ!」
「おーーーい、もう帰るぞ」
 西野家へ行こうとした唯の腕を真中は掴む。
「ところで真中、つかさ先輩のこと抱きしめてたねー。何?ヨリ戻ったの?」
 ニヤニヤしながら唯は真中の顔を覗き込む。
「戻ってねぇよ」
「うっそ!!なのに抱きしめたの!?じゅんぺーってホントにいい加減〜!」
 唯のその言葉に真中はカチンとする。
「恋の一つもしたことねーやつに言われたかねーよ!」
「何それ!恋したことある人がエライって言うの!?
 淳平だって、つかさ先輩の気持ち全部わかるわけじゃないくせに!!」
「…!!」
「何黙ってんの淳平!なんとか言いなよ!」
「……帰るぞ…」
 真中はそれから黙りこくり、スタスタと歩いていった。
 唯は頬を膨らませながらも真中の後をついて家に帰った。

995 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 01:58 ID:yYy+xqIH
お疲れー!!
良すぎる
ってか凄すぎ
なんか文章が格段にうまくなってるような気がする
人間って成長するなぁ

996 名前:DEATH(ラスト) 投稿日:03/01/17 01:58 ID:8Fk6BzaS
長い上に中途半端で申し訳無い…。
上手くまとまらないし情けない。
批判なんでも受け付けます。

997 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 02:00 ID:FhHP9vYU
>>996
乙です。
相変わらず上手いなぁと思いますた。
変な褒め方かもしれないけど特に唯が上手い。

998 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 02:01 ID:De0FZU4w
感動しました。乙!

999 名前:DEATH 投稿日:03/01/17 02:05 ID:8Fk6BzaS
ありがとう(*´∀`*)

1000 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:03/01/17 02:05 ID:COeI09ul
おっしゃ

1001 名前:1001 投稿日:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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